終末時計 残り100秒!
8月9日、「被爆75周年 長崎原爆犠牲者慰霊平和式典」会場でいただいたパンフレットに、科学雑誌「原子力科学者会報」の表紙に掲げられている「終末時計」が紹介されています。マンハッタン計画(原子爆弾の開発)に携わったアメリカ等の科学者たちが創刊したものです。 核戦争によって地球が滅亡する日を午前零時に見立て、それまでの残り時間を示す時計が終末時計。初めて表紙に登場した1947年(昭和22)は残り7分でした。冷戦でアメリカと旧ソ連との対立が激化する中で時計の針は進み、両国が核実験を繰り返した1950年代は残り2分となりましたが、冷戦終結後の1991年(平成3)には残り17分まで戻りました。しかし、現在2020年は「残り100秒」と過去最短を示しています。これは、アメリカやロシア、イギリス、フランス、中国に核兵器の保有を認める代わりに、核軍縮交渉を行う義務を核不拡散条約(NPT)に定めているにもかかわらず、最大の核保有国アメリカとロシア両国が小型核弾頭の開発を進めているからです。 「残り100秒」と過去最短となった中、2017年、国連で「核兵器の開発、保有、威嚇等を禁じる」核兵器禁止条約が賛成多数で成立し、ついに24日、条約の発効に必要な50か国に達しました。唯一の戦争被爆国である日本は、この条約に署名せず、核兵器保有国と非保有国の「橋渡し役を担う」と表明していますが、その動きはありません。原爆の悲惨さを体験している日本が条約に署名し、橋渡し役を担い、終末時計そのものをなくす動きを起こす必要があります。