3月定例市議会
~いじめや不登校などの問題を抱える子どもへの支援体制 & 市立幼稚園廃園問題~
前日(3月5日)の池田良子議員(社民市政クラブ福岡市議団)の代表質問の補足として、
「いじめや不登校などの問題を抱える子どもへの支援体制」と
「市立幼稚園廃園問題」
の2点について補足質疑に立ちました。
まず、いじめや不登校などの問題を抱える子どもへの支援体制について、
「いじめの早期発見、早期対応」
「子どもたちの悩みやSOSを学校全体でキャッチし、子どもたちを複数の眼で見ていく体制づくりの整備」
そして、
「学校外に、命のセーフティネットとして、いじめや体罰、虐待などへの早期対応と解決に向けた常設の子ども相談システムの整備と救済機関の設置」
について質問しました。
特に、いじめや体罰、虐待などへの早期対応と解決に向けた常設の子ども相談システムの整備と救済機関の設置については、大津市が設置した外部有識者で構成される第三者調査委員会の報告でも、将来に向けての課題として、子どもが安心していじめからの救済を訴える窓口が不可欠とし、その設置が是が非でも必要だと提言しています。
本市では、こども未来局が「福岡市子ども総合計画」を策定するにあたり、2009年5月、中高生及び青年世代を対象に「次世代育成支援に関するアンケート調査」(中学生・高校生それぞれ797人、769人が回答)を行い、子どもたちの実態や思いを詳細に表している調査となっています。
その中の「いじめられたときに、死にたいと思った」の問いでは、
中学生で約2割、
高校生世代では約4割
と高い傾向を示し、3年前の調査より増加しています。
悩みや心配事の相談相手は、
中高生世代とも、学校や近所の友達が最も高く、次いで母親となっている一方、
誰にも相談しないが
中学生15.4%、
高校生世代で17.8%
となっており、相談する場所がわからないと回答した中学生が3%います。
福岡市の小中学校における過去3年間の認知件数は、
2009年は、小学校で10件、中学校で30件
2010年は小学校9件、中学校36件
2011年が小学校15件、中学校58件
となっていますが、実際は多くの子どもたちが友人関係やいじめ等に悩み、誰にも相談することもなく、自分の家や教室でじっと耐えている様子が見えてきます。
このことから、本市でも、兵庫県川西市や札幌市、川崎市等のように、学校外に「命のセーフティネット」として、いじめや体罰、虐待などへの早期対応と解決に向けた常設の子ども相談システムの整備と救済機関の設置が必要だと要望しました。
〈教育長〉
○いじめや虐待に早期に対応し、解決に取り組むため、こども総合相談センターにおいて、教育相談課など関係各課が連携を強化し、学校による組織的な対応を支援するとともに「子ども人権110番」を開設している法務局や「子どもホットライン24」を開設している福岡県教育委員会とも連携を進めていく。
○常設の救済機関の設置については、その必要性について検討していく。
次に、「福岡市立幼稚園廃園問題」について質問しました。
本市には、八つの市立幼稚園がありますが、今回の行財政改革プランの検討事項に「市立幼稚園廃園を含めた検討」が保護者や幼稚園関係者に十分な説明もないまま唐突に上げられました。
今、少子化や核家族化に伴う人間関係の希薄化などにより、子育てに関する知識や知恵を得る機会が減少し、子育てに不安や悩みを持つ保護者が増えている中、就学前教育と小学校教育との滑らかな連続性を図る幼児教育の重要性が増しています。
また、幼稚園においては、幼児にとって望ましい環境や幼児教育の在り方などに関する保護者への啓発や子育て支援に積極的に関わっていくことや特別な教育的支援を必要とする幼児への支援体制の充実が求められています。
市立幼稚園は、私立幼稚園に比較して、小学校の知識経験を有する教員が多く、地元の子どもが多く入園しており、小学校や地域との連携を図りやすいこと等の特性があり、関係行政機関とのネットワークもあります。
札幌市や広島市等では、学識経験者や市立幼稚園、私立幼稚園の関係者、保育園関係者などで構成する検討委員会を立ち上げ、「市立幼稚園のあり方」に関する検討を重ね、具体的な取組みや方策等の提言を受け、市全体の幼児教育の中枢的な役割を担う「拠点園」としたり、研究実践園と位置づけて研究機能を強化したりする等、市の施策に反映しています。
今回、幼稚園関係者や保護者代表、有識者などを交えず、教育委員会内部の検討だけで「今後の幼児教育は民間に委ねる」という結論は、あまりに乱暴であり、本市においても、札幌市や広島市等のように学識経験者や幼稚園・保育園関係者、保護者等による検討委員会を構成し、「就学前教育・幼稚園教育をどのように推進していか」という視点から、検討していくべきだと要望しました。
〈教育長〉
○市立幼稚園については、福岡市の幼児教育の大半を私立幼稚園が担っている現状などを踏まえ、市立幼稚園を全て廃園する方向で検討を行っているが、今後、各園の保護者や地域住民に対する説明会やパブリック・コメントを実施し、広く市民の意見を聞き、方針を決定していく。
○保幼小連携の滑らかな接続を大切にし,私立幼稚園連盟や子ども未来局と連携し、情報交換や授業参観による交流を図ることなどにより,就学前教育・幼稚園教育の充実を図る。